桑迫伽奈・イイダユキ二人展「夜になりすます。」
2021/5/29 〜 6/20  
PHOTO GALLERY FLOW NAGOYA  / 名古屋​​​​​​​
夜は光を遮断することで物質の輪郭をあいまいにする。
夜の静けさは、目の前の景色をおだ やかに隠し、昼間とは違う風景を我々に提示する。
人によっては夜の存在を混沌と表現するかもしれない。しかし二人の作家が捉える夜は静 かで整然としており、大きな闇に包み込まれている。
夜の暗闇は視覚を奪い、何処か深いと ころへ落ちていく。
その落ち切った底に光る「何か」を夜の先に期待しているのではないだ ろうか。

 桑迫伽奈は、写真に写った光を辿るように刺繡をし、イイダユキは人物を花に見立てて写真 を撮る。
それぞれに写真というメディアを元にしながら夜に擬態させる。
その闇の中から見えて来る新たな光の輪郭をトレースして提示する。
くりかえす夜に置き 忘れた整理と混沌をすくい上げ、暗闇の先に見出した物質は、何かを語りかけてくるように 穏やかに佇んでいる。
text : 中澤賢 (PHOTO GALLERY FLOW NAGOYA Director)
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